ミー&マイガール in富山オーバード・ホール

久々に劇場で幸せな気分に浸れました。

剣幸さんのビル。一人だけの男役なので、登場時は女声に違和感がありましたが、じき気にならなくなりました。当日がお誕生日で、還暦イブ(!)と言っておられたけれど全くそうは思えない声の張りと身のこなし。
一昨年「回転木馬」を見たときも、若いキャストの中で一人格の違いを見せつけてましたが、トップを務める人はオーラから違うというか。登場しただけで舞台が引き締まったのを覚えています。
男役のあのかっこよさって何なんだろう、現実離れしてるのがいいんだろうか。

そして1幕終盤のアクシデント。舞台転換中、上からドシーンとセットが降ってきて、「これは斬新な演出」と思っていたらそのままバターンと倒れてもうもうと砂埃が。キャストは舞台袖で演技を続け、オケも演奏しているけどこれは一体…と思ううち幕が下りて客席が明るくなりそのまま中断。
何がどうなったのか分からないけど、舞台上に人がいなかったのが何よりでした。

このまま中止か?と客席がざわざわしてたら剣さんが登場、「修理が済み次第再開します!」と言ってくれて一安心。さらに特別出演の中尾ミエさんを連れてきて、二人で「ビルでーす!」「マリアでーす!」と即興の漫才まで。当然アドリブ。ベテランはやっぱり違う、トップを務めた人は度胸が違うとそこらじゅうから感嘆の声が聞こえてきた。中尾ミエさん、「わたくしの新曲です」と言って「可愛いバーバ」(可愛いベイビーの替え歌)まで披露してくださって、客席は大盛り上がり。手拍子と歓声で歌がよく聞こえなかったくらいでした。その間舞台からはドリルのチュイーンという音が響き、必死で復旧作業してるのが伝わってきて…いやー生きた心地しなかったんじゃないかな、装置の責任者。

中断は30分ほどでしたが、そういうサービスをしたあとすぐ切り替えて役に戻れるのもすごい。終演後、サプライズで剱さんのバースディケーキも登場、一体となってお祝いできたのも楽しかった。

「悪人が一人もいないオールハッピーエンド」だから安心して観られるうえ、笑いいっぱいちりばめて地元ネタサービスもあって、目の前でセットが壊れて漫才が見られるというおまけつき。満足できないはずがない。
一緒に行った同僚は上演時間がのびたせいで最後まで見られず残念がっていましたが、満足度は高かったみたい。
ただひたすら30分待たされたとしたら、不満も大きかっただろうけど。そうさせなかったプロ根性に感服でした。再演があったらきっと観に行くと思う。