シルヴィ・ギエム 最後の「ボレロ」 感想2

ドン・ジョヴァンニ

ってあの「ドンファン」の事だよなぁ、と思ったけどドン・ジョヴァンニは登場せず、夢見るバレリーナ達の踊りでした。


稽古場でさざめくバレリーナ達。恋愛観を語る男の声のナレーション。よく覚えてないけど「私は愛すると決めたらその女をとことん愛し抜くのだ」みたいな事をえんえんと言ってたと思う。そして、恋にあこがれる少女達が、ドン・ジョヴァンニに見立てた椅子に向かって次々アピールをはじめる。1人が踊り終わるたびに袖から登場し、からかうように去って行くシルフィードが綺麗でした。全員シンプルな巻スカートの衣裳の中で、一人だけ羽根のついた華やかなロマンチックチュチュで、ちらちら姿を見せるんだからとても気になる。

ソロはやっぱり小出さんと上野さん、あと名前が分からないけどちょこちょこ走り回る、髪をお下げにした子が目立ってた。踊り終わって椅子を踏み付けた人も高飛車で良かったな。そのあと「ちょっと、何すんのよ!!」って騒いでるお下げちゃん&コールド達もいい演技。恋に恋して全員「ドン様〜〜」な雰囲気になった所で、突如ハシゴをかついだ大道具さん登場。とたん、現実に引き戻されてがっくり頭をたれるダンサー達。笑った。あの大道具さんは何者だろう。ダンサーらしからぬもっさり感でしたが…舞台をのそのそと横切るだけなのに美味しい役だわ。
ラストだけはシルフィードは現れないから、夢見る気持ちの象徴なのかな。レヴェランスの時も、風のように上手から下手に走り去り、妖精そのものでした。