ダイハツ ドラリオン福岡公演

初シルク・ド・ソレイユ。テレビでしか知らず、進化したサーカス程度の認識だった。団体なので一番安いA席。丸いステージを囲んだ座席の、本当に端っこの後ろのほう。いい席の半額。なのでまったく期待しなかった。
いやーでも、すっかり魅了されて帰ってきました。同じ人間とは思えない、あなた方は一体どういう身体をしていますかと。パフォーマンスも演出も音楽も舞台装置も、全て計算しつくされて一瞬も目を離せない。

以下ネタバレ含みます。日本公演は終了したけれど一応。

  • 照明さん

客席上に狭い照明ブースが4つ、ステージを囲むように吊り下がっている。開演前、ふと見ると黒い服着た照明さんが影のようにスタンバイしている。どこから入った?天井から降りてきたんだよね?あのハシゴみたいな通路渡ってきたのか?ブースから落ちたら客席直撃だから、やっぱ命綱付けてるのか?
等など、気になってしょうがなかった。休憩時間にじーっと見ていたら、第二部がはじまる数分前に天井中央から細いキャットウォークを人影が歩いてくるのが見えた。なにしろ暗いからよく見えないけど、ハシゴを降りていつのまにかブースにおさまっている。なんかすごいよ。

  • 天井のリング

舞台天井中央のリング。昇降したりうねったり回ったり、真ん中から物が降ってきたり人がぶらさがったりする装置。リング内に人が隠れる小さいスペースがあって、そこからどう抜け出すのか、またいつのまにかそこから人が出てこないか、気になってずっと見ていた。天井にスタッフが待ち構えててゴソゴソやってるのは分かるんだけど、うまいこと見えないようになってる。第一そこばっか見てたらステージの演技が見れない。

  • 好きだったプログラム
      • トランポリン

「壁を走る」と聞いてたトランポリン。ほんとに走ってた、垂直の壁。走るというか、駆け上がってふわっと壁の上に立つ。まるでマンガみたいだ。飛び込みっぷりも潔い。どうしてあんなに正確に飛ぶ位置を制御できるのだろ。とにかく全員がすごかった。もう一度みたい。

      • バレエ・オン・ライト

上空で、シルエットのみ見せながら宙づりになってくるくる踊ってたおねーさんとおにーさん。途中で姿を見せて、どうするのかなー降りてくるのかなーと見てたら、最後まで吊るされて踊ってた…腰の2本のワイヤーだけで長時間全身制御するって、どういう肉体してんだろ。この上空にいる4人に気を取られて、肝心のステージ上の演技はあまり見なかった。上空の人達のほうがバレエっぽかったから気になったんだろう。

ドラリオン3頭での玉乗りシーソー。めったなことじゃ興奮しないけど、これは「うぉぉぉ」とか言いながら見た。

これも大好き。また見たい。命綱付けてないよねぇ。すごすぎる。

いちばん好きなキャラクターはリトル・ブッダ。最初と最後に大きな砂時計をひっくりかえして現実と幻想の世界を切り替える。あとはちょこちょこ出てきて、何をするわけでもなく座って見てたり、セッティングのお手伝いをしたり、脇で踊っていたり、ちょっと宙返りしてみせたり…で、常にニコニコしてる。他のキャラクターとは違う次元にいるような、無邪気な子供のような、狂言まわしのような。お腹がぽこんとしてて、黄色いたぬきさんかドラミちゃんのようだったけど、リトル・ブッダというくらいだからえらいのだ。公式のキャラクター紹介によると「至高の存在」だそうです。
あとクラウンのみなさん。彼らが出てくるとなごむんだけど、眠くなった。しゃべってるのはフランス語?

  • 生演奏

後半にクラウンが紹介するまで、生演奏だと気づかなかった。歌も生なのね…宙づりになって口動いてるなぁとは思ったけど。あとでDVDを見たらちゃんと演技を見ながら進行してて、なかなかの緊張感。彼らもまたプロなんだなぁと思った。けっこう耳に残る音楽で好き。

  • いじられ役

の彼。どもりっぷりと、いじられっぷりが半端なかったので「仕込みやな」と早々に気づいた。素人の割にとっさの切り返しは見事だし、鍛えあげた身体してるし。彼が出るたびに私は疑惑を強めていったのだが、隣の友人は、ネタばらしの瞬間まで信じてたようで、しきりに応援したり同情したり、最後は「あ〜やられた〜」って。そのほうが正しい楽しみ方だな。でもあの彼はたしかに団員にあるまじき素人オーラだった。ちゃんとネタばらしするとこが後味良いなぁと思った。

  • A席

座席表を見るとかなしくなる位の端っこなのだけど、十分楽しめた。演技はどの角度から見ても迫力は変わらない。ただ、中央のステージでメインの演技、背面の壁でダンス…という時にはどっちを見ていいか分からなくなる。どっちも見たいし、でも同時には見れないし。正面に近い席なら、手前と奥で立体的に見られるんだろうけど。