いぬ

夜実家に行ったら、庭に犬がいたのです。近所の猫なら毎晩うろついていたけど犬は珍しい。小さい頃は野良犬ってのもいたけど、今は見かけない。
その犬は赤い首輪をつけた柴犬風の雑種で、雨にぬれて痩せ細っていた。迷い犬かしらん。かわいそうに。尻尾もだらんと下げて哀れな様子だったので、「おいでおいで」と呼んでみた。犬は興味ありそな顔をして立ち止まるけど、一定の距離以上近付くとうう〜、と鼻先に皺をよせて唸る。怒ってるのでなく怯えてるみたいだ。尻尾が丸まってないなぁ。手に持ってたキーホルダーの鈴をちゃらちゃら鳴らして興味をひいてみる。猫だったらすぐ逃げるか、鈴で寄って来るんだけどなー。この犬はずーっと一定の距離以上近付かせてくれない。雨の中、しゃがみこんでずーっと犬と根比べをしていた。ちょっとずつ近付いて、「がうう」と唸るのもかまわず鼻先に手を伸ばしたら、がぶりと指を噛まれた。一瞬やばっと思ったけど、軽く噛まれただけなので大丈夫だよね。
なんか、あげられる食べ物持ってなかったかな〜と考えたら、さつまいもを車に積んでたのを思い出した。生で申し訳ないけど、食べるかなーと思ってさつまいもを犬の前に差し出して「ほーら」とやってみた。犬は不審そうに見ている。もう1回近付いて鼻先にやって臭いを嗅がせたら、「生じゃねえかバカにするなよ」という顔で4回吠えて、走って逃げていった。交流失敗。

親に聞いたら、隣の家の犬が放し飼いにされてて、侵入しては糞をするので困ってるそうだ…なんだよー迷い犬じゃないのか。なんか色々理不尽だ。